人事

人事担当者が自らのメンタルヘルス対策を犠牲にしてはならない理由

人事担当者のメンタルヘルス
人事担当者であるあなたは、日々どのような業務を担っていますか?

ひと言に「人事」と言っても、企業により業務範疇はまちまちですよね。

大企業の担当者は、完全分業制で与えられた範囲内の業務をこなすスタイルが一般的でしょう。
一方、中小企業の担当者は、労務や育成、採用など、人事と名のつく業務すべてを1、2名で回しているという状況も珍しくありません。

どちらの立場にいる人事担当者も、その環境ならではの苦悩や困難があるはず。
その中で、双方に共通してお伝えしたいのは「人事担当者こそ、自分自身のメンタルヘルスに気を配るべき」ということです。

今回は、多忙を極める人事担当者のメンタルヘルスについて解説していきます。

人事担当者こそメンタルヘルス対策を忘れてならない

その名のごとく、「人」に関わる領域を一手に担う人事担当者。
目まぐるしく変化する周辺に気を取られがちですが、だからこそ人事担当者は自らのメンタルヘルス対策を忘れてはなりません。

経営層や従業員、求職者の一挙手一投足を気にかけなければならない人事担当者は、自らが認識している以上に多くのストレスをため込んでいるのです。

人事とは、人なくして成り立たない仕事であり、担当者は常日頃から、あらゆる立場の人たちと関わりを持っています。
つまり、自らの思惑や裁量ばかりが通用する世界にはいません。
時には、意に反する言動を貫く強さを求められたり、理不尽な思いをぶつけられたりするポジションです。

そのような環境下で人事担当者は、少しずつストレスをため込んでいきます。
ダイレクトに実感している人、場面もあれば、自分を守るため、知らずしらずのうちに感情に蓋をしてしまっているケースもあるでしょう。
長く高ストレス状態に晒されると、どのような弊害が生じるのかは、おおよそ想像できるはずです。

したがって、ストレス要因を自覚しているか否かにかかわらず、自らのメンタルヘルスに興味を持ち、意識的に対策を講じていくことが重要です。

人事担当者自身のメンタルヘルス対策を怠る2つのリスク

人事担当者が自身のメンタルヘルス対策を軽視し怠ると、以下のようなリスクが生じる可能性があります。

1. 人事業務の停滞による損失の発生
2. 人事担当者自身のキャリアへの悪影響

上記はいずれも、メンタルヘルス不調による仕事のパフォーマンス低下や、療養に伴う長期離脱などからもたらされるリスクです。

人事業務の停滞の程度は、会社の規模や人事部の人員の充実加減により異なります。
人事部内に人員が十分に揃っていれば何ら問題ないかもしれませんが、1、2名の少人数で業務を回している場合は一大事でしょう。

人事担当者自身のキャリアへの悪影響とは、決して人事評価を指しているのではありません。
あくまでも、人事担当者自身のキャリアビジョンや目標に関わる部分です。
万が一、休職や退職に至るほどの精神的ダメージを受けてしまえば、ビジョンや目標までの計画に少なからず変更をきたすことになるでしょう。

目標に向けて貪欲な方であれば「これくらい大丈夫だろう」と不調を見て見ぬふりし、自らのメンタルの強さを過信してしまう傾向が見受けられます。
また、人事という仕事に責任感を強く持っている方は、「私が頑張らなければならない」と自分を追い詰めてしまう方が多いでしょう。

しかし、人の心は本人の意識に反して、日々大きな負担を感じています。
ボーダーラインを超えてしまえば、あなたの大切な思いを実現する機会が遠のいてしまったり、仲間に心配をかけてしまったりすることになります。

働き方関連やストレスチェックなど、労働者ファーストに世の中が動き始めている反面、人事担当者は会社側の立場から動かなければならないことが増えました。
しかし自分自身もいち労働者であり、守られるべき立場であることを忘れないでください。

人事担当者が抱えやすいストレスや不安要素

ここからは、人事担当者が抱えやすい主なストレスや不安要素について挙げていきます。
無意識のうちに負担を感じているケースもあるので、ご自身に当てはまる箇所がないか今一度確認してみましょう。

気軽な人間関係を築きにくい

人事担当者は、社内でフランクな人間関係を築きにくい立場です。
人事の仕事は従業員から相談を受ける機会が多く、それに対し常に公平な言動が求められているためです。

たとえば人事担当者が特定の人やチームに関して陰口を言っていれば、それを聞いた従業員からの信頼を失うでしょう。
そして特定の従業員とばかり親密にしていれば、その従業員が人事へ取り入っているのではないかと、あらぬ疑いをかけられるリスクもあります。

公平性を意識しなければならない人事担当者は、従業員と気軽に愚痴を言い合ったり相談をしたりということが難しく、それによってストレスをため込みやすい方もいるでしょう。

多くの人とのコミュニケーションが求められる

人事担当者は、多くの人たちとのコミュニケーションが求められる仕事です。
自社従業員やグループ会社間はもちろんのこと、社労士や広告代理店、求職者など、さまざまなセクションの人たちとのつながりが生じます。
コミュニケーションの対象者ごとに変幻自在な立ち回りが求められるため、ストレスを感じる方もいるでしょう。

板挟みになることが多い

人事担当者は、板挟みになりやすい立場です。
先述のように人事担当者は多くの人と接点があることから、たとえば管理職の上司と現場で手を動かす部下、経営層と従業員など、2者の間に入り、間を取り持つ機会が多くあります。
余程の理由がない限りは、どちらか一方の肩を持たず中立的な言動が求められるため、気苦労が多くストレスを感じやすいでしょう。

人の負の感情をもらいやすい環境

人事担当者は、人のネガティブな感情を受け取りやすい立ち位置にいます。
従業員の仕事や家庭に関する悩みごとを聞く機会が多く、その度に相談者のネガティブな感情に触れることになるためです。

特に、共感力が高い人ほど相手に寄り添いすぎて、相手の感情がまるで自分の感情であるかのように感じてしまいます。
そのため、いつの間にか心が疲弊し、メンタルヘルス状態を悪化させてしまいます。

嫌われ役を請け負わなけらばならない

人事担当者は、社内で嫌われ役を請け負わなければならない場面もあるでしょう。
従業員から見て人事担当者とは、自分たちの働き方や生活にかかわる重要な部分を左右する存在であると認識されているからです。
また、経営層に近い立ち位置にいることから、無条件に敵対視している従業員もいるかもしれません。

そのため、注意やアドバイスをすれば反感を買い、給与や賞与の査定、労働環境に関することや、経営層に対する不満をぶつけられることも、珍しいことではないでしょう。

残念ながら人事という仕事は、「多くの人から好かれたい、嫌われたくない」というモチベーションでは、務まりにくいポジションなのです。

守らなければならない秘密が多い

人事は、口外できない情報を数多く取り扱っています。
従業員の個人情報や雇用契約、人事異動情報など、決して口外してはならない機密情報を、適切に管理しなければなりません。

上記以外に、たとえば従業員からの相談内容などに関しても、本人の許可なく第三者へ漏洩することはあってはならないことです。
業務の性質上避けられないことですが、重圧からストレスを感じる人事担当者もいるでしょう。

立ち止まる勇気を持てるか否かが未来を左右する

分かれ道

ストレスを起因としたメンタルヘルス不調を感じたときには、決して現状を見て見ぬふりをしてはなりません。しっかりと休息を取り、心身を休める時間を設けましょう。
さらに、状況によっては専門機関を受診し、メンタルヘルスの回復に専念する必要もあります。

前項のように、人事とは非常にストレスフルな仕事です。
そのため何のストレスや疲労を感じずに、平然に淡々と仕事をこなせる方はほぼいません。

強いストレス状態を感じたり仕事に行くのが辛いと感じたりする場合、それはあなたの心から発せられた必死のSOSです。
そのSOSを放置していれば最悪の場合、適応障害やうつ病を発症する可能性も大いに考えられます。
受けたダメージが大きい程に回復まで時間を要してしまうので、「このくらい大丈夫」と自分を過信せず、休息や専門機関の受診を軽視しないようにしましょう。

人事として最前線で活躍する方にとって、たとえ一時的だとしても現場を離脱することは死活問題に値するでしょう。
しかし心に異変を感じたとき、一度立ち止まる勇気を持てるか否かで、その先もあなたらしく活躍できるかが左右されてしまいます。
長期的な視点を持って、自分自身のメンタルヘルスを大切にしましょう。

人事担当者の余裕の創出には人事業務のシステム化がマスト

企業規模にかかわらず、人事担当者のメンタルヘルスを守るには、業務効率化の推進が欠かせない課題です。
個人のスキルや人事部内の状況によるため、効率化のアプローチ方法は一概に言えませんが、ルーティン業務のシステム化がひとつの有効な手段です。

近年では、さまざまな企業から健康管理システムがリリースされているため、日常業務は比較的スムーズにシステム化できるでしょう。
未導入の企業は、上司や経営層に提案してみる価値は大いにあります。

提案の際には、上司や経営層を納得させられる材料集めが重要です。
産業医がいる場合には連携を取りながら、システム化により解決できる自社の課題を整理していきましょう。

人事担当者は自分のメンタルヘルス対策を甘くみないで

従業員のことばかりではなく、人事担当者はもっと自らのメンタルヘルスに興味や必要性を感じましょう。
周囲には共感されにくい、重圧やプレッシャーを背負っているからこそ、自分が思っている以上にメンタルヘルスにダメージを負っています。

「人」に関するセクションの舵取りをしている人事担当者自身の良好なメンタルヘルスがなければ、従業員たちの健康も守り切れません。
もちろん、あなた自身の望ましいキャリア実現のためでもあります。
この機会に、自分自身のメンタルヘルスと向き合ってみてはいかがでしょうか。